2015年9月29日火曜日

いまやヤクザも組織立ってネットを使う時代?山口組は非公式の建前ながら「麻薬追放国土浄化同盟」というサイトを運営

ヤクザもネット活用する時代 山口組が麻薬追放サイト運営も

2015.09.28 07:00



21世紀はインテリジェンス(諜報)を駆使した「武器なき戦争」の時代だといわれる。その流れは“暴力”を生業にするヤクザも例外ではない。山口組の分裂騒動は、インターネットを駆使した新時代の“抗争”に突入した。フリーライター・鈴木智彦氏がレポートする。

分裂直後、山口組の実力派が拮抗する大阪でも、神戸山口組系の一団が敵対する直参組織前で示威行為をしていたことが確認されている。神戸側の先鋭部隊はそのまま東進し、数日後、甲信越組織で目撃された。さらにその後、名古屋に姿を見せたという噂が流れ、暴力団社会は騒然とした。
 
名古屋は司忍六代目の出身母体である弘道会の地元で、いわば敵の本丸に乗り込んだ形になる。噂が事実なら土足で母屋に侵入したに等しく、明確な挑発行為だ。山一抗争(※注)当時に同様のことをすれば、即座に事件になっただろう。いまでもこうしたゴタゴタが積もり積もれば事件が起きる。現在は双方ともに「こちらから攻撃は仕掛けない」と明言していても、最後は暴力のぶつかり合いになる。

【※注:1984年に竹中正久組長が四代目を襲名したことに反発した反竹中派が「一和会」を結成。竹中組長は一和会に殺害されたが、山口組の報復が激化。1989年の終結までに双方で25人もの死者を出した】
 
「東京は血の海になるでしょう」などとTwitterでつぶやいて急激にフォロワーを増やし(フォロワー2万人以上)、活発に発言している「組長」なる人物が、神戸側の人間と宣言していることは以前触れた。時事ネタと洒脱な会話でファンを増やしながら彼は頻繁に敵地である名古屋を訪問し、証拠となる写真も投稿している。
 
写真を偽造するのは簡単だが、9月16日には突然、携帯電話のGPS機能を使った位置情報をONにした。どこにいるかはっきり証拠を残したわけで、「名古屋なう」という刺激的な投稿もあった。

個人で匿名のSNSなら笑い話かもしれない。が、いまやヤクザも組織立ってネットを使う時代だ。山口組は非公式の建前ながら「麻薬追放国土浄化同盟」というサイトを運営しているし、組の行事をYouTubeにもアップしている。山口組本部の取材の際、最前列にカメラを持った組員を見かけることも多い。

ネットばかりか、「山口組新報」という機関紙も復刊させている。離脱派の拠点のすぐ近くまで出向き、写真を撮影し、こうした媒体に掲載すれば十分な挑発になる。神戸山口組も対抗して公式サイトや機関紙を制作する可能性はある。

ネットを駆使した新時代の情報戦が始まっていることは間違いない。

※週刊ポスト2015年10月9日号

参照元 : NEWSポストセブン





麻薬追放国土浄化同盟HP

麻薬追放国土浄化同盟(まやくついほうこくどじょうかどうめい)は、1963年4月、山口組の田岡一雄らが結成した、麻薬・覚醒剤撲滅を目的とした団体。一般的には、山口組の東京進出を偽装することを目的としたと考えられている。

山口組の東京進出はかねてから在京の団体との摩擦を引き起こしていたが、1963年3月、グランドパレス事件が勃発すると、事件を受けて、錦政会(後の稲川会)・稲川裕芳会長(後の稲川聖城)は、右翼活動家・児玉誉士夫の提唱する東亜同友会から脱退した。

そこで児玉は、田岡組長と稲川裕芳の仲介を行った。児玉は、田岡に「襲撃に関係した井志組横浜支部組員全員の除名と、山口組井志組・井志繁雄組長の断指と、横浜在住の山口組関係者を10人にする」との手打ちの条件を示した。田岡は児玉の条件を受け入れ、和解した。

しかし一方、同年4月、田岡は、右翼活動家の田中清玄、麻薬審議会・菅原通済会長、参議院議員の市川房枝、作家の山岡荘八、評論家・劇作家の福田恆存らと、麻薬追放国土浄化同盟を結成し、横浜市で結成大会を開いた。同盟の総本部は、兵庫県神戸市中央区橘通の山口組本部に置かれた。

また、山口組益田組・益田芳夫組長(後の益田佳於)を、麻薬追放国土浄化同盟横浜支部長として、事務所を開設させた(実質的には益田組横浜支部として使われた)。かくて田岡は、児玉が行った山口組と錦政会との手打ちを実質的に反故にした。さらに田岡は、東亜同友会への参加を取り止めた。

このことは、田岡率いる山口組が、児玉の威勢をも無視して東京進出を果たす強い意志と能力があることを内外に見せつける結果となった。

2013年中にウェブサイトを開設した。2014年2月11日、東京BREAKING NEWSが山口組の餅つき大会動画をYouTubeに投稿した団体として、サイトともども紹介した。4月2日、フランス通信社が独自取材を加えて後追いした。フランス通信社の報道時点で、約165000のアクセスがあった。

イギリス『ガーディアン』紙が同記事を配信すると、日本の他メディアも後追いした。『ガーディアン』は警察関係者のコメントとして、サイトが山口組によって作られたかどうかは断言できないと報じたが、ニュースフィアの記事によると、ドメイン情報は山口組総本部の住所が登録されているという。

サイトでは山口組による阪神・淡路大震災や東日本大震災でのボランティア活動、餅つきや初詣の動画などを公開している。また、昭和51年(1976年)に「全国国土浄化同盟」と改称したとしているが、サイト名は「麻薬追放国土浄化同盟」となっている。

サイト開設の動機として、領土問題・拉致問題などの外交、検察・警察不祥事や政治家による原発事故への発言、年間3万人を超える自殺者などの諸問題を挙げている。また、現在の麻薬・覚醒剤密売は「大半が不良外国人によるもの」であり、「多くの日本人が手を貸していることも事実」だが、「大半は任侠組織の規律を守らず処分されている者達です」と主張している。だが2015年6月25日、覚せい剤約3.4キロを所持した疑いで山口組山健組系組員が逮捕された。

以下略

参照元 : wiki/麻薬追放国土浄化同盟

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