2015年12月17日木曜日

6代目山口組の内部文書を入手 「神戸山口組の切り崩しに対抗せよ」

6代目山口組の内部文書を入手!~詳細に記された「切り崩し対策」。神戸山口組との神経戦は、ここまで激化していた

2015年12月17日(木)7時1分配信



「神戸山口組の切り崩しに対抗せよ」
<直参及び、その枝の組長は、この情報操作に踊らされることなく、この実態を細かく末端組員まで説明し、動揺を防ぐ必要が早急に求められている>

末尾にこう記されている、6代目山口組の内部文書を入手した。

タイトルに「神戸山口組の切り崩し手法と実例」とあり、細かく実例を紹介しているから「切り崩し対策マニュアル」と言っていい。執行部で「情報戦に対して、どういう対策を打つか」が議題となり、そのために作成されたようだ。

危機感をつのらせるのもわかる。

今年8月末、6代目山口組を飛び出した時の神戸山口組の勢力は、13団体約3000人だった。親を裏切ったという意味では「逆縁」である。住吉会、稲川会など大手広域暴力団は「筋」を重んじて6代目山口組を支持、資金的にも人員的にも6代目山口組に“分”があることから、神戸山口組は切り崩し工作にあって、弱小化は免れないと見られていた。

だが、現実は逆だった。分裂から約100日後の12月13日に執り行われた「正月事始め(神戸山口組は納会)」が、互いの勢力図を決める節目となったのだが、神戸山口組は7団体増えて20団体となり、分裂時に59団体だった6代目山口組は4団体減って55団体となった。

神戸山口組拡大の理由は、神戸に本拠を置く神戸山口組の中核組織の山健組には、名古屋を本拠地とする弘道会が仕切る6代目山口組にはない郷愁と、全国の組織と結んだ幹部たちの人脈があることだ。また、それを生かして巧みな切り崩し工作を行っていること、さらに、マスコミ対策も柔軟に行い、“勢い”をアピールしていること…結果的にそれが神戸山口組隆盛の“流れ”となっている。

6代目山口組の2次団体幹部が、率直に認める。

「確かに、神戸の方が、勢いがあるように見えるわね。こっちは、上(執行部)がなにをやりたいのか、ようわからんのですわ。毎週、実話雑誌を買うて読んでね、それでなにが起きているか、知るような状態です」

敵方の組長からの電話に注意せよ
そこには6代目山口組が指定暴力団で、神戸山口組がまだ指定を受けていないことの差がある。6代目山口組は暴対法上の“縛り”を受けるために、司忍6代目が表立って指示を出せず、“檄”も飛ばせない。使用者責任を問われかねないからだ。

ただ、それを抜きにしても、「対策マニュアル」で明かされる神戸山口組の手法は巧みで、6代目山口組幹部を上手く揺さぶっている。

例えば「バッティング後の切り崩し行為」の項では、順序よく実例を紹介する。

①直参組織の若頭が家族や若い衆と食事をしていたら、敵方の者から「どこで食事をしとんじゃ! うちの縄張りだぞ!」と、カマシの電話が入る。

②警戒して外に出ると、敵方の組長から携帯に電話が入り、「若頭、留守中に若い者が若頭に失礼なことをしたようで、申し訳ありません」と、詫びつつ、「今度、食事でもどうですか」と、懐柔してきた。

③組に着くと、今度は、神戸山口組の直参の組長から侘びの電話が入った。

…こうした勧誘行為は、手を変え品を変えて繰り返されているということで、「引退、波紋絶縁者への勧誘」に及んでいるとして、次のような対策を指示している。

<各直参は、地元に重点を置き、そのような者(影響力や不満を持った引退者、処分者)の現状を把握し、情報を得た上で、早急に行動しなければならない。直参は、自らの組織防衛、地域の山口組一門の親睦を図り一致団結させることを最優先するべきと思う>

一読して思うのは、切り崩し工作と情報戦の双方に劣勢の6代目山口組には憂色が漂っているものの、抗争を仕掛ける気はない、ということ。また、全国で行われている神戸山口組の示威活動にも触れ、警察やマスコミに事前連絡を入れるなど、本気で抗争を仕掛ける気はないのだから、<引く気がない意思を強く示すことが大事>だという。

想像以上の神経戦
驚くのは、示威活動が、「切り崩し行為」にも利用されていること。示威活動の後、<若い者が迷惑をかけたが「もめる気などない」と、相手方の組長等が、詫びの連絡を入れてきた上で、必ず食事等の誘いの電話をかけてくる>という。

そこで、直参には、次のように注意を促している。

<対策としては、相手の手口だと認識し強い意志を持つこと。そのようなことが組員に対して行われていないかの把握と報告の義務を与え、直参はその内容をブロック長に届け出る事>

神経戦、情報戦は、我々の想像以上である。

ところで、12月13日の「事始め」の席で、6代目山口組は新体制を組み、ナンバー3の統括委員長が橋本弘文極心連合会会長から藤井英治5代目國粋会会長に、ナンバー4の本部長が大原宏延大原組組長から竹内照明3代目弘道会会長にシフトするという新人事が発表されると目されていた。

だが、これは来年以降に先送りされた。

「橋本統括委員長の引退騒動(12月1日の渡辺芳則5代目の命日の墓参の帰りに引退を示唆)があったばかりなので、続けて混乱するのを避けたいということのようだ」(警察関係者)

といっても、既に橋本、大原の両組長は舎弟に上がっており、長く重要ポストに居続けることはない。早晩、ポストを譲り、司6代目を支える藤井―竹内体制がスタートする。

そうなると、関西、中国、九州に勢力圏を伸ばしている「西の神戸山口組」に対し、國粋会が東京、弘道会が名古屋なので、「東の6代目山口組」という構図が鮮明になる。

冒頭の「反省の弁」は、雑誌やネットを使った情報戦に遅れを取っていることを反省したもので、文中には、著名ジャーナリストや雑誌名を上げて「神戸山口組系」であることを警告しているが、そうなると警察を相手にしない「三ない主義」をはじめ、マスコミに対しても「秘匿」を通した6代目山口組が、積極的に情報発信しはじめるかもしれない。

反社会的勢力同士の争いで、一般の国民にはどうでもいい話だが、いたずらな抗争は繁華街を不穏にし、市民に不安を与える。それならば、「対策マニュアル」に書かれているような静かなる抗争が、情報戦とともに展開される方が、まだましだろう。

伊藤 博敏

参照元 : 現代ビジネス



ヤクザ(反社会的組織)が消滅しない国は、世界中で日本だけ。こんな国は珍しい。


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