2016年6月30日木曜日

【山口組分裂抗争】サミット休戦後に白昼堂々の射殺事件、映画さながらのカーチェイス!一連の事件の逮捕者は両組合せて24人

【衝撃事件の核心】山口組分裂カーチェイス、白昼堂々の射殺…実録やくざ映画ほうふつ「血の報復」不気味な予兆

2016.6.7 19:00



やはり抗争は収まっていなかったのか。店舗や保育園が立ち並ぶ岡山市の住宅街で5月31日午前、指定暴力団神戸山口組直系組幹部が射殺される事件が起きた。指定暴力団山口組の分裂に伴う対立抗争が背景にあるとみられ、地域住民は恐怖に震えた。これに先立つ今年3月、山口組と神戸山口組が本拠を置く兵庫県でも白昼堂々、衝突が起きていた。

両団体の組員らが乗った車がカーチェイスを繰り広げ、兵庫県警は暴力行為法違反容疑などで組員ら20人超を逮捕した。うち1人の公判で明らかになったのは、分裂後、水面下で行われていた引き抜き・妨害工作の数々。神戸地裁は事件の背景に対立抗争があると指摘した。抗争が激化すれば、市民にも被害が及ぶ事態に発展する可能性がある。有識者は「規制が厳しい特定抗争指定暴力団に指定し、被害を抑止するべきだ」と提言する。

■怒号を響かせ、車襲撃

3月5日。昼近くとなっていた神戸市中央区割塚通の路上。黒塗りの高級車や灰色の大型高級車10台以上が、幅寄せや追い越しをしながら爆走していた。映画さながらのカーチェイス。やがて車は互いに幅寄せすると、衝突した。

車を止め、降りてきた10人以上の男らは怒号を上げながら、持っていた金属製の靴べらなどで一方の車のフロントガラスやドアを破壊。襲われた車の助手席に乗っていた男は、車内から催涙スプレーを噴射して応戦すると、爆音を響かせながら走り去った。

「神戸は多くの組事務所があるので、いつか抗争が起きるのではと不安だったが、現実に目撃すると怖い」。こう話すのは、現場近くで飲食店を営む女性。懸念した抗争が現実化した瞬間だった。

事件は、神戸山口組側の暴力団組員らが山口組側の組員の車を挑発した末、双方の衝突に発展したもの。車のドアを破壊するなどしたのは山口組側、催涙スプレーを噴射したのは神戸山口組側だった。

まもなく県警は両団体の組員計22人を逮捕した。ほかにも関与した者がいるとみて捜査を続けているが、そのうち、車内から山口組系組員の男に催涙スプレーを噴射したとして、暴行罪で起訴された神戸山口組系組員、小林信一被告(50)の公判が5月、神戸地裁で開かれた。

■事務所を監視、車両を追尾

傍聴人の手荷物検査や入念なボディーチェック、傍聴席の前には透明な防弾パネルが置かれていた。物々しい警備態勢の中で開かれた公判では、昨年8月の山口組分裂以降、水面下で繰り広げられた両団体の切り崩しや引き抜き工作が明らかになった。

公判資料などによると、分裂以降、神戸市内に事務所を置く暴力団の大半が神戸山口組に所属していたが、うち岸本組は今年3月になっても山口組直系組織のままだった。

神戸山口組の中心組織、山健組の傘下組幹部である小林被告は、同組幹部の北本肇被告(56)=同罪で公判中=らとともに、岸本組を神戸山口組側に引き込もうと、執拗(しつよう)な工作を行っていた。岸本組の事務所周辺を車両で走り回ったり、事務所周辺を監視したりしていたほか、事務所から出てくる組員が乗る車両を追尾し、無理やり割り込むなどの挑発行為を繰り返していた。

これに対抗し、山口組側も岸本組に系列の組員を派遣して事務所に待機させるなどの策を講じていた。

いつ衝突してもおかしくない状況で、事件は起きたのだ。

事件当日、小林被告は北本被告が運転する大型高級国産車に乗り込み、岸本組事務所周辺を走り回ったり、監視したりしていた。

すると、岸本組の組員らが車7台に分乗して組事務所から出発。小林被告らは追尾し、車列を後方からあおったり、急加速して追い抜いたりするなどの挑発行為を繰り返した。そして車を衝突させ、事件が勃発(ぼっぱつ)した。

■「巨大暴力団組織の分裂背景」

こうした犯行に、検察側は論告で「(山口組側からの)なんらかの反撃の可能性が想定できるのに、暴力団組織特有の反社会的な考え方に基づき、あえて挑発行為を繰り返した」と指摘。引き抜き工作や挑発行為が抗争の引き金となることの危険性を訴えた。

その上で「山口組の分裂やこれに伴う抗争事件が多数報道され、一般市民が不安感を感じている状況だったにもかかわらず行われた」として、懲役1年6月を求刑した。

迎えた5月18日の判決公判。空閑直樹裁判長は懲役1年2月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。

判決理由で、事件に至る経緯を「岸本組を神戸山口組に引き込もうとの考えから、ほかの神戸山口組側の組員とともに、岸本組事務所周辺を監視したり、事務所に出入りする車両を尾行し、つけ回したりしていた」と述べ、山口組分裂に伴う引き抜き工作が背景にあったと認定した。

その上で「後方からあおるなどの挑発行為に及んだ中、車同士が接触事故を起こして不穏な状況が生じ、その際に、自分の車に接近してきた者に対して催涙スプレーを噴射する暴行を加えた」とした。

小林被告が罪に問われたのは、催涙スプレーを相手に吹き付けたという暴行罪。裁判長も「スプレーは護身用であり、噴射の方法も人体に影響を及ぼす危険性が高かったとまでは評価できない」と言及。だが、「巨大暴力団組織の分裂を背景として、白昼の公道でいわばけんか闘争の一端としてなされた。責任、非難を減ずる事情がないのはもちろん、社会的影響は軽視できない」と断罪した。

■「サミット休戦」後に…

山口組分裂以降、全国各地で組事務所への車突入や発砲事件などが起きていたが、今年2月に入り件数が急増。今回のカーチェイス事件は、そうした中で起きていた。

警察庁は事件から2日後の3月7日、両組織を「対立抗争状態」と認定。兵庫県公安委員会は4月、神戸山口組を指定暴力団とした。

これらが功を奏したのか。分裂以降に組事務所への車突入や発砲事件などは全国で70件以上発生していたが、神戸山口組が指定暴力団となってからは激減。4月の両団体の定例会では、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット、5月26~27日)が終わるまで抗争を控えるよう通達が出た、との話もあった。

そんな中、岡山市南区豊成のマンション駐車場で5月31日、神戸山口組系池田組のナンバー2にあたる高木忠若頭(55)が何者かに拳銃で腹部などを数発撃たれ、死亡する事件が発生した。

警察関係者によると、池田組は資金力が豊富とされる岡山県の有力団体。山口組分裂で池田組の組長は、井上邦雄・山健組組長らとともに離脱して神戸山口組の傘下に。現在、池田組組長は神戸山口組の舎弟頭の地位を占め、神戸山口組の中心組織ともされる。

組織のナンバー2が白昼堂々、射殺されたのだ。6月5日になって、射殺事件に絡んで山口組系組員、山本英之容疑者(32)が岡山南署に1人で出頭し、殺人と銃刀法違反の疑いで逮捕されたが、これですんなり決着するのか。血で血を洗う抗争と報復の連鎖への懸念が高まり、市民が巻き込まれる最悪のケースも現実味を帯びる。

■「早く特定抗争指定暴力団に」

暴力団情勢に詳しい垣添誠雄弁護士(兵庫県弁護士会)は神戸地裁の判決について「裁判所が事件を暴力団の分裂が原因だと認定し、市民への影響に言及した点で評価できる」と評価する。

一方、事件は神戸山口組がまだ、暴力団対策法による指定暴力団になっておらず、抗争状態とも認定されていなかったころに起きたものだったことを課題に挙げ、「指定暴力団であれば、抗争時に組事務所の使用制限などが可能であり、今回の事件も抑止できたかもしれない」と指摘。「神戸山口組が指定されるまで約8カ月かかり、この間、多くの抗争事件が起きた。指定暴力団が分裂し、新しい暴力団ができた場合などには、即座に指定暴力団とし、すぐに組員の行動を規制して取り締まれるようにするなど法律の改正が必要だ」と訴える。

だが、岡山の事件は、指定暴力団になって以降の発生だ。暴力団が強固な意志を持って犯行に及べば、暴対法だけでは抑止にならない現状も浮かぶ。

垣添弁護士は、平成24年の暴対法改正でできた新制度で、指定暴力団のうち、対立抗争状態にあり、市民の生命・身体に重大な危害を加えるおそれがあるとして都道府県公安委員会が指定する「特定抗争指定暴力団」に着目する。

「より規制の厳しい特定抗争指定暴力団になれば、特別に定めた警戒区域で敵対組員へのつきまといや組員5人以上の集合があると即座に逮捕できる」と指摘。ヒットマンが近づいたりするケースを防ぐことができる可能性があり、「岡山の事件を一刻も早く抗争事件と認定し、山口組と神戸山口組の双方を特定抗争指定暴力団に指定することが、報復行動を防ぐことにつながるのではないか」としている。

参照元 : 産経新聞










車損壊事件で新たに神戸山口組系組員2人逮捕 計24人に 県警

2016年6月29日(水)8時37分配信

指定暴力団山口組と神戸山口組の双方の組員が車を壊し合うなどして逮捕された事件で、兵庫県警暴力団対策課などは28日、山口組系組員2人の顔などを金属バットで殴ってけがをさせたとする傷害容疑で、いずれも神戸山口組系組員の高岡宏明(51)=神戸市中央区=と川村昌己(37)=福岡市博多区=の両容疑者を逮捕したと発表した。

それぞれ認否を保留しているという。 一連の事件の逮捕者は神戸山口組側が4人となり、山口組側と合わせて計24人となった。

参照元 : 産経新聞


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