2017年2月2日木曜日

山口組傘下ではない独立団体を舞台にして、両団体の「代理戦争」が勃発

山口組京都代理戦争 会津小鉄会「2人の組長」血の相克

2017.02.01 07:00



山口組の分裂抗争は度重なる武力衝突から一時、落ち着きを見せていた。しかし、今年1月、意外な形で火が噴いた。場所は京都、しかも山口組傘下ではない独立団体を舞台にして、両団体の「代理戦争」が勃発したのだ。フリーライターの鈴木智彦氏がレポートする。

1月21日午前6時、京都市左京区にある会津小鉄会傘下のいろは会事務所前に向かった。静かに降り始めた雨が雪に変わっていた。玄関前にはすでに京都府警が大挙しており、実話誌の記者が2人張っている。周囲が明るくなった頃には地元メディアや一般誌、警視庁や兵庫県警などの捜査関係者なども現われ、周辺はちょっとした騒ぎになった。

騒動の発端は1月10日、会津小鉄会と親交のある暴力団に送られたFAXだ。六代目会津小鉄会・馬場美次会長の名前と印が押されており、そこには、

「この度、後進に道を譲るべく、原田昇(六代目会津小鉄会の若頭)をもって七代目会津小鉄会会長とし、不詳私の跡目とすることと決定いたしました」

と書かれていた。馬場会長は家族の銀行口座を使ったことが詐欺事件とされ、昨年12月に有罪判決を受けている。今後収監される可能性に加え、75歳という高齢ということもあって代目が変わってもおかしくない。

が、すぐに馬場会長の直筆サイン入りで訂正のFAXが流された。

「本日、ファックスにて送信致しました書状について、後継者に原田昇となっておりますが、まったく私の知る所ではございません。ここに改めて御通知申し上げます。依って原田昇を『絶縁』と致します」

先ほど七代目会長を襲名するとされた原田若頭が、今度は一転、絶縁処分とされてしまったのだ。直後、騒動はどんどん大きくなる。

馬場会長は自らの子分に加え、神戸山口組の幹部・組員を連れて会津小鉄会の本部に入り、原田若頭派を追い出して施錠し、一帯が騒然としたのだ。近隣の小学校児童は警察官の付き添いで下校することとなり、新聞記者やテレビカメラも詰めかけた。するとカメラに映し出された映像に、当事者たちに加え、六代目山口組幹部の姿があったのだ。

「馬場会長が神戸山口組を連れて乗り込んできた時、本部には六代目山口組や弘道会(司忍組長の出身母体)の幹部がいた。会津小鉄会のクーデター未遂は、2つの山口組の代理戦争みたいなもんだ。それも絶縁された原田若頭側に六代目山口組が付き、元々の馬場会長側を山口組から処分された神戸山口組が支援するという皮肉な構図」(山口組担当のマル暴刑事)

暴力団社会はとどのつまり、強い者の言い分が筋でしかない。これにより会津小鉄会の本部は京都府警によって封鎖された。

その後馬場会長は、金子利典会長代行に跡目を譲ることを決めた。だが、その襲名式当日、処分された原田若頭派も襲名式を挙行するという噂が消えなかった。金子新会長の襲名式2日前、山口組担当のマル暴刑事に電話すると、「どっちも正統な跡目を主張し、『七代目会津小鉄会』を名乗るというのだから前代未聞」と戸惑っていた。

刑事は原田若頭派を偵察に行く予定でシフトを組んでいたそうだが、結局、原田若頭派の襲名式は中止されたという。ただし、2月にずれ込んだということなので、まったく同じ名前の会津小鉄会七代目がもうひとつ誕生し、2人の七代目会長が並び立つ可能性は消えていない。

※週刊ポスト2017年2月10日号

参照元 : NEWSポストセブン


分裂山口組、会津小鉄会を巻き込み抗争再燃 外交戦は山口組が圧倒的、指定暴力団の約半数と友好関係

2017/1/30(月) 16:56配信



国内最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)が分裂してから27日で1年5カ月を迎えた。離脱派が結成した神戸山口組(本部・兵庫県淡路市)との抗争事件は全国的に沈静化しているが、対立自体は他組織を巻き込みながら深く進行している。

今月11日、京都市下京区に本拠を置く指定暴力団会津小鉄会の本部事務所に、山口組と神戸山口組の組員数十人が詰めかけ、一触即発の事態になった。

トップ人事をめぐる同会の内紛が原因だった。前日の10日、山口組派の幹部が新会長になるとの文書が流れ、その直後、神戸山口組派の会長が文書を否定し、幹部を「絶縁(永久追放)」にする文書が出回った。山口組の分裂が他組織に飛び火した形だ。

会津小鉄会は今月21日、神戸山口組派の幹部が新会長に就任する継承式を実施。最終的には神戸山口組の友好団体となる道を選んだ。

会津小鉄会の動きについて、暴力団関係者は「もともと山口組の友好関係にあったが、トップだった会長は神戸山口組の井上邦雄組長と兄弟分だった上に、高圧的な山口組への反発を強めていた。対山口組への戦略上、京都を押さえておきたい神戸山口組と、利害が一致したのだろう」と解説する。

ただ、外交戦では山口組が圧倒的だ。国内の22指定暴力団のうち約半数と何らかの親戚・友好関係を構築しているとみられている。昨年9月には篠田建市(通称・司忍)組長が関東の2大組織である指定暴力団稲川会(本部・東京都港区)と指定暴力団住吉会(本部・東京都港区)のトップと横浜市で会談するなど友好関係をアピールしている。

捜査関係者は「有力組織との友好関係を見せつけることで神戸山口組を牽制しようとする狙いがある。分裂の影響を考慮し中止となった親戚・友好団体による山口組への年末のあいさつも昨年末は再開された」と指摘する。

警察庁によると、山口組分裂以降、両組織間の抗争事件は92件発生しているが、昨年3月以降は急速に沈静化。12月は0件、今年1月は26日時点で2件にとどまっている。両組織が組事務所の使用禁止など規制がより強化できる「特定抗争指定暴力団」への指定を警戒しているためとみられる。

ただ、抗争再燃の火だねはくすぶっている。別の捜査関係者は「会津小鉄会を絶縁された山口組派の幹部が新組織を立ち上げようとする情報もあり、代理戦争として抗争が再燃する可能性もある。会津小鉄会以外でも、どちらの山口組と付き合っていくかで、もめている暴力団があり、予断を許さない情勢だ」と分析している。

参照元 : 夕刊フジ


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